コロナ後遺症などの嗅覚障害の治療法

コロナ後遺症嗅覚障害の治療

みなさんこんばんは
愛知県豊田市にある
剛鍼灸院 豊田です

新型コロナウイルス感染症の初期症状や後遺症として、感染した多くの人が経験する嗅覚障害ですが、ニオイの感覚(嗅覚)は、空気中のニオイの分子が鼻の奥にある嗅上皮といわれる部分にある嗅細胞を刺激し、脳の前の方にある嗅覚中枢に伝わることで感じます。

嗅覚障害は、この伝達になんらかの障害が起き、ニオイの感覚(嗅覚)が弱くなる、または全く感じなくなる状態をいいます。そして、中には今までの記憶とは違った匂いに感じてしまう嗅覚異常があります。

嗅覚障害の原因

嗅覚障害の原因は、大きく2つに分けられます。

1つ目は、鼻がつまってしまい、嗅神経までニオイが届かない状態

  • 風邪
  • 副鼻腔炎
  • アレルギー性鼻炎

などがあげられます。

2つ目は、嗅神経障害が原因の末梢神経障害

  • ウイルスによるもの
  • 外傷
  • 年齢
  • 薬剤

などが原因のものがあります。

その他には、1つ目と2つ目が混合しているケース、頭部の外傷やパーキンソン病などによる中枢性の嗅覚障害、亜鉛不足などが原因となります。

嗅覚障害の治療方法

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因の場合は、それらの疾患を治療することがまず大切です。ステロイド剤の点鼻薬やビタミン剤、漢方薬などの薬物療法が中心となります。

しかし、外傷による嗅覚障害や神経の障害による嗅覚障害を改善させる有効な治療薬は現段階では見つかっていません。そこで注目されているのが嗅覚刺激療法(嗅覚トレーニング)です。

嗅覚障害の治療法

この嗅覚刺激療法は、2009年にドイツの医師によって有効性が報告されました。具体的な方法は、

  • バラ
  • レモン
  • ユーカリ
  • クローブ

この4種類のアロマオイルを朝晩それぞれ10秒ずつ嗅ぐ、これを3ヶ月続けるというものです。意識をしてニオイを嗅ぐことで嗅神経が刺激され、神経の再生が促されるといわれています。嗅ぐニオイは4種類に限らず、例えば香水・バニラ・カレー・コーヒーなどの自分の好きなニオイや馴染み深いニオイでもいいといわれています。

大切なのは、10秒でも記憶の中にあるにおいを思い出しながら意識を集中させること、嗅いでいるニオイと記憶を結びつけるような気持ちで根気よく続けることが重要です。

嗅覚障害には様々な原因があり、すべてのものに効果があるというわけではなく、新型コロナウイルス感染症の後遺症に効果があるかは未知数です。しかし、希望をもってこの治療法に取り組んでいらっしゃる方がすでにいらっしゃいます。

コロナ後遺症としての嗅覚障害

~鍼灸治療でできること~

コロナ後遺症嗅覚障害の治療

私たち鍼灸師は、嗅覚障害に悩む患者さんが来院されたときには、患者さんの状態に合わせた治療をおこなっていきます。

風邪や副鼻腔炎が原因となっている場合は、鼻の働きに関係するツボを使い、鼻の周りの血流を良くし、嗅覚末梢神経の栄養状態を改善させ、嗅覚機能を回復させます。

嗅覚刺激療法を行っている方には、この治療法の「肝(きも)」である意識の集中ができるよう心と体を整える治療をし、嗅覚が1日でも早く取り戻せるよう一緒に取り組んでいきたいと思っています。

嗅覚障害の治療は、新型コロナ感染後早ければ1回の治療でもかなり回復します。後遺症の定義である3ヶ月異常経過してもなお「臭わない」と感じた場合、定期的に治療していかなければなりません。