アトピー外来

アトピー外来

アトピーは副交感神経過剰亢進と、交感神経過剰亢進のコントロールが重要です

アトピーはステロイドと保湿だけでは治りません。さまざまな皮膚疾患の中で、生活の質が最も低くなるといわれているアトピーは、症状に付随する抑うつ、不安、睡眠障害などメンタル関連の有病率が高いためです。そのため、アトピーに対しては皮膚症状の改善だけでなく、症状に影響された自律神経の乱れにも対策が必要です。

アトピー患者の4人に1人は、症状による精神的な悩みを全く医師に伝えていないだけでなく、症状の改善効果の満足度は53.8%という実態が、アトピー患者さん1万300名を対象にサノフィが実施したアンケートにより明らかになっています。(2017.7.13)

アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う皮疹が全身に現れ、皮膚症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴の皮膚疾患です。

鍼灸治療は、アトピーだけでなく、アレルギー全般と自律神経症状の治療が得意分野です。かゆみと肌荒れを改善し、ステロイドの使用をやめていくための体質改善に鍼灸治療が役立ちます。

アトピーの原因

アトピーの発症に重要と考えられているのがアトピー素因です。

アトピー素因とは

  • 家族にアレルギー体質の人がいる
  • 自身が喘息や花粉症・食物アレルギー持ち
  • IgE抗体を産生しやすい体質

といったことです。

具体的になぜアトピーを発症するかはまだほとんど分かっていません。

これまでに明らかになっていることは

  • 予防、治療、肌の保湿が非常に重要
  • 乳幼児のアトピーは、他のアレルギー疾患の引き金になる
  • 他のアレルギーや感染症などによって皮膚炎が増悪する

年代別アトピーの症状

乳児期

症状が出始めるのは生後2〜3ヶ月ぐらいからです。目の周りやおでこ、頬が赤くなりブツブツができたあと、ジュクジュクした状態になります。同じ様な湿疹が頭部や体の広い範囲にでき、強いかゆみのため指でひっかいたり布団に湿疹をこすりつけるような動きがみられます。

月齢が低い場合には乳児湿疹との区別がつきにくく、一旦は乳児湿疹と診断され、経過とともにアトピーと診断が変わることもあります。

乳児湿疹とは生後0ヵ月~1歳頃にできる乳児期特有のさまざまな湿疹・皮膚炎です。

幼児期

4ヶ月前までステロイドを使用していた3歳児の手

アトピー3歳児の手

4ヶ月前までステロイドを使用していた3歳児の足

アトピー3歳児の足

皮ふがやわらかい首や肘の内側、膝の裏側などに湿疹ができます。かゆみが強く、かきむしっているうちに皮ふがかたくなります。その他の部分は乾燥し、皮ふの表面は鳥肌が立っているように見えます。

小学生

かゆみが強まり、睡眠に支障が出たりイライラが続いたりします。冬の乾燥や夏の汗や汚れが刺激となってかゆみが増します。耳たぶの下が切れたり、耳の後ろがジクジクしたりといった症状もみられます。全体の皮ふがカサカサになって粉をふいたり、皮ふの乾燥が進んだ部分は硬くなった湿疹となります。

中学生以降

2年前までステロイドを使用していた中学3年生の手

ステロイドを使用していた中学3年生の手

2年前までステロイドを使用していた中学3年生の足

ステロイドを使用していた中学3年生の足

中学校に入学すると症状はおさまることが多いです。しかし、症状が改善されない場合、皮ふの乾燥がさらに進み、赤く、硬くなります。

アトピーの検査

アトピーを悪化させる原因は、1つだけでなく、様々な要因が重なり合って起こることが多いため、これら悪化要因の対策をおこなうことも治療を行う上で大切なことになります。

例えば、ダニ・カビ・ペット・汗・ストレスなどです。

この内アレルギー反応を示す物質と重症度を把握するために必要なのが血液検査です。

TARC(ターク)

アトピーに特有の血液検査として、TARCという皮膚の細胞から作られる物質の量を検査するものがあります。これは、湿疹が悪化すると高くなり、良くなると低くなるという特徴があり、アトピーの状態を表す指標として用いられます。

重症の人は3,000pg/mlを超える場合もあります。

総IgE抗体値

IgE抗体はダニや食物などのアレルゲンに反応する血清成分です。重症になるにつれて、高くなることが知られています。

TARCのような重症度の細かな指標にはなりませんが、アレルギー体質があるかどうかの指標になります。一般的に250IU/ml以下を正常値としています。

特異的IgE抗体値

また、特異的IgE抗体検査をおこなうことにより、ダニや、ペットなど悪化要因がどのように関わっているかを検討します。通常はダニに対する特異IgE抗体値が反応します。ダニの値が一番高い場合は普通のアトピーなので、アレルゲン対策はほとんど必要ありません。

一方、食物特異的IgE抗体値の測定は、疑わしい食物アレルゲンを特定する際に有用で、対策を取りやすくなります。

好酸球数値

血液中には、1マイクロリットル中(1ミリリットルの1000分の1)あたり、通常は3000~9000個程度の白血球があります。好酸球とは、その1~5%程度を占めています。

好酸球はアレルギー疾患で高くなることが知られています。正常値の目安は4%以下程度です。

アトピーの治療

アトピー治療の基本は

  1. 薬物療法
  2. スキンケア
  3. 悪化要因の除去

の3つです。
これと同時に本当に必要なのは、体を正しい状態に改善、維持してくれる鍼灸治療です。

薬物療法

薬物療法の基本は、ステロイド、免疫抑制剤(タクロリムス軟膏)の外用、抗ヒスタミン剤の内服による治療があります。

重症例では免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服、生物学的製剤(デュピクセント®,一般名:デュピルマブ)の投与を組み合わせた治療があります。

デュピクセント® は、2018年4月より日本に導入された新しいアトピー性皮膚炎の治療薬で、IL-4とIL-13という物質の働きを抑える働きがあり、皮膚の炎症を抑える皮下注射の薬です。

ステロイドの軟膏は、体の部位、重症度によって使用量が異なります
例えば、顔は毛穴が多く薬の吸収がよく、効果も得られやすいためミディアムクラス以下の弱いステロイドを使うことが原則となります。

重症度とは、以下のような基準があります。

重症 高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などを主体とする。
中等度症 中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体とする。
軽症 乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする。
軽微 炎症症状に乏しく乾燥症状主体

ステロイド外用薬は、血管収縮作用の強さによって、日本では5段階に分けています

1群が最も強く、5群が最も弱い段階に分類されています。

Ⅰ群 ストロンゲスト
Ⅱ群 ベリーストロング
Ⅲ群 ストロング
Ⅳ群 マイルド
Ⅴ群 ウィーク

ステロイドは使い方次第です。赤くグジュグジュの初期段階では必ず使用したほうが良い程です。しかし、長年ずっと同じものを使用するのは問題があります。同時に使用する体の部位によって濃度を変えるのも常識です。

スキンケア

スキンケアの基本は、石けん、シャンプーをしっかり泡立ててからやさしく洗うこと、そして、しっかり洗い流すことです。洗剤の残りがあると肌荒れの原因になります
入浴後は、タオルで拭いたらすぐにしっかり保湿することです。皮膚の水分量は、タオルで拭いたら1秒後でも乾燥が始まります。慌てる必要はありませんが、入浴前に用意しておいて、すぐに塗りましょう。

悪化要因の除去

アトピーを誘発、悪化させてしまう原因は極力排除できることが望ましいです。

悪化要因としては、小麦、卵などの食物、ダニ、ハウスダスト、花粉、化粧品、喫煙、最近、真菌、ストレスなどがあります。

鍼灸治療

2年前までステロイドを使用していた中学3年生の手

★ステロイド使用 中学3年

2年前までステロイドを使用していた中学3年生の足

★鍼灸治療1ヶ月

2年前までステロイドを使用していた中学3年生の手

★ステロイド使用 中学3年

2年前までステロイドを使用していた中学3年生の足

★鍼灸治療1ヶ月

アトピー性皮膚炎の患者さんにとって最もつらいのは、とにかく痒いということです。痒くてかきむしってしまった結果、湿疹や傷ができてしまうと、炎症がさらに悪化してしまうという悪循環にもなります。
症状のひどい時、痒くて夜も眠れないような時は、ステロイド等を使用して、まずは痒いという症状を抑えてあげることが必要です。

もうひとつ重要なことは、ステロイドに依存しないということ。 ステロイドを使うことで炎症を抑えることができますが、それは対症療法でしかありません。
ステロイド自体がアトピー性皮膚炎を治しているわけではないのです。

そこで、アトピー治療の一番大切なことは、アレルギー症状が出ないようにしてあげることです。
鍼灸治療は、痒みなどの症状を抑えつつ、アレルギー反応が出にくい状態になるよう促します。

アトピー患者さんの体は全般的に副交感神経の過剰亢進という体質を持ちながら、同時に交感神経の過剰亢進も抱えた、複雑な身体になってしまっています。そして、この体質を変える方法としても、鍼灸治療が有効です。

また東洋医学ではアトピーによる皮膚症状は、自然界にあるエネルギー(風・湿・熱)が、体内に侵入し、身体によくない邪気(風邪・湿邪・熱邪)として影響するからと考えます。
なかでも、臓腑の「肺」と「脾(ひ)」に邪が入り込むことにより、皮膚に潤いを与えている水分(津液しんえき)がうまく行き渡らなくなって自然な潤いを失い、アトピー特有の皮膚の痒みや乾燥、ジュクジュクが起こると考えるのです。

鍼灸治療のメリットは複数あり、体の余分な熱やかゆみ、皮膚の乾燥を軽減、免疫、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整えること、アトピーを含むアレルギーで特徴的なIgE、好酸球などの値を正常に戻すことを得意としています。

小児鍼について

小児のアトピー治療
子供のアトピー治療

小児鍼とは、子供の病気を治療するための鍼治療です。
子供用の鍼は、皮膚をつついたり、刺さない鍼です。

子供は大人と違い感受性が豊かです。そのため、ちょっとしたことで病気になる反面、軽く皮ふに刺激をするだけで十分な効果が現れます。
小児鍼をしている時は、くすぐったくて笑っているお子さんばかり。治療中や治療後の帰路で寝てしまう子もいるくらいです。

小児鍼といってもお灸をする場合もあります。
もちろん、子供でも大丈夫な熱くない、嫌がらないお灸です。

乳児、幼児など子供のアトピー治療には、この小児鍼で皮ふを強くするツボや体の余分な熱をとるツボ、免疫、自律神経系を正常化してくれるツボを刺激することで赤みやかゆみ、皮膚の乾燥を抑えます。
アトピーは継続的に治療すると皮膚の再生力が高まり、アレルギー反応が出にくくなってきますので、アトピー症状に悩むことなく楽に過ごせるようになります。

アトピー治療の基本をもう一度整理すると

  1. 薬物療法←徐々に減らす
  2. スキンケア
  3. 悪化要因の除去
  4. 鍼灸治療

の4つです。

1日でも早くアトピーに悩まない生活を目指しましょう。